ビットコインの誕生から15年以上が経過しましたが、現在も創設者であるサトシナカモトの正体は謎に包まれたままです。サトシナカモトの正体をめぐっては様々な憶測が飛び交い、複数の人物が名乗り出たものの、決定的な証拠は未だ見つかっていません。
本記事では、ビットコイン開発者であるサトシナカモトの正体に関する最新の情報と、これまでに浮上した有力説を紹介していきます。
「ビットコインを作った人って誰?」「サトシナカモトの正体って分かってる?」と気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いたのは
しょーご(@samurabrass)
当ブログ「しょーごログ」の運営者。金融機関での勤務経験とWeb開発経験を活かし、2022年からWeb3プロジェクトに関わる。複数の大手メディアでの執筆をこなし、金融知識とクリプト領域両方の知識を活かした分かりやすい解説が定評。
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ビットコイン創設者サトシナカモト(Satoshi Nakamoto)とは?
サトシナカモト(Satoshi Nakamoto)は、世界初の暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの開発者として知られる謎の人物、または集団です。サトシナカモトという名前は日本人を連想させる名前ですが、国籍、年齢、性別、さらには個人なのかグループなのかも確認されていません。
2010年頃から公の場での活動を停止し、プロジェクトの管理を初期から貢献しているギャヴィン・アンドレセンやハル・フィニーなど他の開発者に引き継ぎました。
サトシナカモトの功績は経済界に多大な影響を与えており、2016年度のノーベル経済学賞にノミネートされたこともあります。
ビットコインの最小単位である0.00000001BTCは1Satoshi(サトシ)と呼ばれ、創設者の名前に由来しています。
ちなみにサトシナカモトは中本聡や中本哲史と表記されることがありますが、当て字のようなもので、正確なものではありません
サトシナカモトに関する時系列
ここからはサトシナカモトに関してわかっていることを時系列で解説していきます。
2007年:ビットコイン開発の始まり
サトシナカモトは2007年の前半頃からビットコインの開発に着手したとされています。この時期から、仮想通貨の概念を具体化し、技術的な課題の解決に取り組んでいたと考えられます。
2008年8月18日:bitcoin.orgドメインの登録
サトシナカモトまたはその関係者が、bitcoin.orgドメインを登録しました。これはビットコインプロジェクトの公式ウェブサイトとなる重要な一歩でした。
2008年10月31日:ビットコイン白書の公開
サトシナカモトは暗号理論に関するメーリングリスト「Cryptography」に「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」と題した論文を投稿しました。
この論文は中央集権的な金融機関を介さない電子通貨システムの概念を提唱しており、ビットコインとブロックチェーン技術の誕生のきっかけとなりました。
余談ですが、2023年まではMacの中にこの論文が隠されておりコマンドで見ることができたのですが、その後のアプデでファイルは消されたようです。
2009年1月3日:ジェネシスブロックの生成
サトシナカモトはビットコイン史上初のブロック(ブロック0、ジェネシスブロック)を生成しました。このブロックにはThe Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banksというメッセージが埋め込まれており、既存の金融システムへの批判とも解釈されています。
日本語約すると「2009年1月3日 タイムズ紙:財務大臣、銀行への2度目の救済策実施の瀬戸際に」ということですかね?つまり、どういうこと?
2009年当時は世界金融危機の最中です。イギリス政府が銀行システムを救済するために2度目の公的資金注入を検討していたという文言をわざわざ入れたのは、既存の中央集権的な金融システムへの批判の意図があったと考えられてますね。
2009年1月9日:ビットコインソフトウェアの公開
サトシナカモトはビットコインの最初のバージョン(ver0.1)をオープンソースとしてSourceForgeで公開しました。これにより、ビットコインネットワークが正式に稼働を開始しました。
2009年1月12日:最初のビットコイン取引
プログラマーのハル・フィニーがサトシナカモトから10ビットコインを受け取り、世界初のビットコイン取引が行われました。
2010年中頃まで:積極的な開発とコミュニティ活動
サトシナカモトは2010年の中頃まで、ビットコインの開発に積極的に関わり、他の開発者やコミュニティメンバーとやり取りを続けました。この期間中にビットコインの基本的な機能や仕組みが確立されていきました。
またこの時期、サトシナカモトはリップルの信頼システムについて電子メールで言及しており、「信頼を集中させるのではなく、分散させる点でユニークだ」と述べています。
2010年12月12日:最後の公開活動
サトシナカモトはBitcoin Forumに最新版(ver0.3.19)のソフトウェアの告知を投稿。これがサトシナカモトの最後の公開活動となりました。
2011年4月26日:開発からの引退
サトシナカモトはビットコインのコア開発に寄与していたギャヴィン・アンドレセンとのメールのやり取りで、他のプロジェクトに移ることを表明し、ビットコインの開発から実質的に引退しました。
実際のメールの文面はギャヴィン・アンドレセンのサイト上に掲載されています。
“I wish you wouldn’t keep talking about me as a mysterious shadowy figure, the press just turns that into a pirate currency angle. Maybe instead make it about the open source project and give more credit to your dev contributors; it helps motivate them.
I’ve moved on to other things and will probably be unavailable.
この文面で、サトシナカモトは以下の点を伝えています。
- メディアがビットコインを海賊通貨として扱ってしまうため、私を謎めいた影の存在として語らないでほしい
- オープンソースプロジェクトとして扱い、他の開発者たちにもっと功績を与えるべき
- 自分は他のことに移り、おそらく連絡が取れなくなる
この後プロジェクトの管理をギャヴィン・アンドレセンなど他の開発者に移譲し、公の場での活動を完全に停止しています。
サトシナカモトと噂されてきた人々
ここからはビットコインを作った人であるサトシナカモトと噂された人物を簡単に取り上げます。
- ハル・フィニー
- ドリアン・ナカモト
- クレイグ・スティーブン・ライト
- ニック・スザボ
- 金子勇
- レン・サッサマン
ハル・フィニー
ハル・フィニーはビットコインの初期開発者の一人で、サトシナカモトから最初にビットコイン(10BTC)を受け取った人物です。彼の専門知識と初期の関与からサトシ本人ではないかと噂されましたが、マラソン大会参加中にサトシがメールを送信していた証拠が発見され、この説は否定されています。
ハル・フィニーは2014年8月28日に亡くなっています。元々筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気を患っており、治療のために多額のビットコインを使用していることが分かっています。
ハル・フィニーがサトシナカモトの場合、ビットコインの創設者は死亡していることになります。
ドリアン・ナカモト
カリフォルニア在住の日系アメリカ人エンジニア、ドリアン・ナカモトは2014年にニューズウィーク誌によってサトシナカモトとして特定されました。
しかし彼自身はビットコインについて聞いたこともないと否定し、サトシナカモトであることを明確に否定しています。
クレイグ・スティーブン・ライト
オーストラリアのコンピューター科学者クレイグ・スティーブン・ライトは、2016年に自らがサトシナカモトであると主張しました。しかし彼の証拠は偽装であることが判明し、2024年3月の裁判でもサトシではないと判断されました。
この判決を受けてライト氏は控訴を試みましたが、2024年11月29日、英国控訴裁判所はライト氏の控訴を却下しています。
仮想通貨コミュニティではライト氏は「Faketoshi」(偽のサトシ)と呼ばれていました。
ニック・スザボ
コンピューター科学者で暗号技術者のニック・スザボは、1994年にスマートコントラクトの概念を提唱し、1998年にはビットゴールドという分散型通貨メカニズムを設計していた人物です。彼の初期の研究や著作がビットコインのアーキテクチャに直接影響を与えたと考えられていることから、サトシナカモトの有力候補とされています。
しかしスザボ自身はサトシ・ナカモトであることを否定しており、他の候補者同様決定的な証拠は存在しません。
金子勇
日本人プログラマーで、ファイル共有ソフト「Winny」の開発者として知られる金子勇氏も、ビットコイン開発者サトシナカモトではないかと噂されています。Winnyの仕組みがビットコインのP2P技術と酷似していることから噂されることが多いですが、実際には両者は似て非なるものです。
Winnyとブロックチェーンの違いを以下の表にまとめました。
Winny | ブロックチェーン | |
---|---|---|
目的 | ファイル共有のためのP2Pネットワーク | 取引の記録と管理のための分散型台帳 |
構造 | ノード間で直接ファイルをやり取り | チェーン状に連結されたブロックで構成され、改ざん防止機能を持つ |
Winnyは主にファイル共有を目的とし、ノード間で直接データをやり取りします。一方ブロックチェーンは取引記録の管理を目的とし、チェーン状に連結されたブロックで構成され、改ざん防止機能を持ちます。
Winnyはコンテンツ配布に特化し、ブロックチェーンは信頼性の高い取引記録の維持に重点を置いている点で差異があります。
仮想通貨を日本人が作ったとしたら凄いことですが、金子勇さんは2013年7月6日に急性心筋梗塞で亡くなっているので、真相を確認することはできない状態です。
レン・サッサマン
レン・サッサマンは、ビットコイン創設者サトシナカモトの有力候補の一人です。暗号技術の専門家であったサッサマンは、ビットコインの基盤技術と類似した知識を持ち、サトシナカモトの活動時期と重なる点が多くあります。
またサッサマンの死後にサトシナカモトの活動が途絶えたことも注目されています。しかし決定的な証拠はなく、サッサマンがサトシナカモトであるかは依然として推測の域を出ていません。
サトシナカモトの英語について
サトシナカモトの正体を考える上で、英語表現からの考察も行われています。
サトシナカモトの英語は非常に流暢で、ネイティブスピーカーレベルの表現力を持っていると考えられています。
特に以下のようなイギリス英語特有の表現や綴りを使用していることが注目されています。
- bloody hard(米ではreally hard)
- analyse(米ではanalyze)
- colour(米ではcolor)
- organise(米ではorganize)
- defence(米ではdefense)
これらの特徴から、サトシナカモトがイギリスまたは英連邦諸国の出身である可能性が高いと考えられています。
またBitcoin Forumへの投稿時間帯が日本の時間帯と一致しないことも、ビットコイン開発者日本人説を疑問視する要因となっています。
サトシナカモトの資産
サトシナカモトの資産について多くの推測がなされていますが、約100万から112万5150ビットコイン(BTC)を保有していると言われています。これはビットコインの総供給量の5.68%に相当します。
2024年末時点でのビットコイン価格(1BTC約1500万円)を考慮すると、サトシナカモトの資産価値は約15兆円に達すると推定され、世界の富豪ランキングで上位20位以内に入っています。
サトシナカモトのビットコインは2009年以降一度も動かされていないとされています。つまり全く売られたことがないということです。
またサトシナカモトしか秘密鍵を知らないので、本人以外誰も動かせません。
サトシナカモトに関する最新情報
ここからはサトシナカモトにまつわる最新情報を紹介します。
ピーター・トッド氏をサトシナカモトとしたドキュメンタリー公開
2024年10月、HBOが「Money Electric: The Bitcoin Mystery」というドキュメンタリー番組を放映し、カナダ人ソフトウェア開発者のピーター・トッド氏がビットコインの創設者サトシナカモトである可能性を示唆しました。
この番組では初期のBitcoin Forumへの投稿など、状況証拠に基づいてトッド氏がサトシナカモトであると推測しています。
しかしトッド氏は強くこの説を否定しており、ブルームバーグへの電子メールで「私はサトシではない」と明言。このドキュメンタリーのアプローチを「陳腐で事実確認が不十分だ」と批判しています。
トッド氏はこの示唆により自身の身の安全が脅かされる可能性を懸念している状態です。
メディアでは「潜伏している」と報道されてますが、2024年10月23日、トッド氏はXで「それは誇張されている」と投稿し、その日アトランタで行われた会議で自身が話している写真を共有しています。
ビットコインカンファレンス「LABITCONF」
2024年11月1日〜2日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催された、LABITCONF(Latin American Bitcoin & Blockchain Conference)では、サトシナカモトが自身の正体を明かすという衝撃的な告知がされました。
カンファレンスの公式Xアカウントは、サトシナカモトが「重大な法的問題に直面しているため正体を明かす」と発表し、本人であることを証明する検証可能な証拠を提示すると投稿しました。
この告知は大きな注目を集めましたが、イベントで主催者は「多くの人がその名を主張しているが、真実は一つ。私たち全員がサトシである」という宣言を行いました。
何ですか、それ。
ビットコイン専門家である小宮自由氏は、サトシナカモトの過去の行動パターンや発言から、こういう自己顕示的な方法で正体を明かす可能性は低いと指摘してますね(汗)
サトシナカモト(Satoshi Nakamoto)の正体まとめ
本記事ではビットコイン創設者サトシナカモト(Satoshi Nakamoto)の正体に関して、最新情報も含めて解説してきました。
サトシナカモトは、ビットコインの開発者として知られる正体不明の個人または集団です。2008年にビットコインの概念を提唱する論文を発表し、2009年に運用を開始しました。その正体は謎に包まれたままで、ビットコインを誰が作ったのか、様々な憶測が飛び交っています。
2025年は仮想通貨バブルの到来により、1BTC20万ドルまでの上昇が予想されており、サトシナカモトのビットコイン総額が主要先進国の国家予算を超えるのも時間の問題です。今後もビットコイン価格上昇に合わせて、サトシナカモトの正体探しが続いていくことでしょう。
サトシナカモトに関するよくある質問
謎の日本人サトシの正体はサトシナカモト?
「Perplex City」の「謎の日本人サトシ」とビットコインの開発者とされるサトシナカモトは無関係です。「Perplex City」のサトシは、2004年に始まった代替現実ゲーム(ARG)の未解決問題として、14年間探し続けられた実在の日本人男性でした。
一方サトシナカモトは2008年にビットコインを考案した人物または集団の仮名であり、その正体は現在も不明です。両者は名前が似ているだけの偶然の一致です。
1BTCは何サトシですか?
1BTCは1億サトシです。サトシはビットコインの最小単位で、1サトシは0.00000001BTCに相当します。
サトシ・ナカモトは実在する人物ですか?
サトシ・ナカモトが実在する人物かどうかは確定していません。個人説、複数人のチーム説、さらには既に死亡している可能性も指摘されています。
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