2024年のアメリカ大統領選後のリップルの急激な価格上昇は、多くの暗号資産(仮想通貨)投資家を驚かせました。時価総額ランキングでは2020年以来の3位を奪取し、USDTを超えている状況です。
しかし価格が注目される中、その複雑で高度な仕様も相まって「リップルとは何なのか」をきちんと理解できている人は多くはありません。
本記事ではそんなリップルの特徴や歴史を解説していきます。特にどうやって送金を効率化しているのか、その技術的な仕組みを分かりやすく解説していきます。
「リップルって結局何がすごいの?」と気になっている方は、ぜひ最後までご確認下さい。
この記事を書いたのは
しょーご(@samurabrass)
当ブログ「しょーごログ」の運営者。金融機関での勤務経験とWeb開発経験を活かし、2022年からWeb3プロジェクトに関わる。複数の大手メディアでの執筆をこなし、金融知識とクリプト領域両方の知識を活かした分かりやすい解説が定評。
著者のLinkedInはこちら
仮想通貨リップル(XRP)とは?
通貨名 | リップル(Ripple) |
ティッカーシンボル | XRP |
開発元 | Ripple Labs Inc. |
発行枚数上限 | 1000億XRP(全て発行済み) |
主な用途 | 国際送金、決済システム |
分散型台帳技術 | XRPレジャー(XRP Ledger) |
コンセンサスアルゴリズム | XRP Ledger Consensus Protocol(XRP LCP) |
リップル(XRP)とは、国際送金の高速化と低コスト化を目的にRipple Labs Inc.によって開発された仮想通貨です。2012年に発行され、独自の分散型台帳技術であるXRP Ledgerを使用し、コンセンサスアルゴリズムにはマイニングが不要なXRP Ledger Consensus Protocolを採用しています。
最大発行枚数は1000億XRPで、全て発行済みです。
ちなみに日本では開発元のRipple Labs Inc.や、その仮想通貨、ネットワークを全て「リップル」と呼ぶ傾向にありますが、それぞれの正式名称は以下の通りになります。
- 仮想通貨としてのリップル:XRP
- ネットワークとしてのリップル:Ripple Net
- 開発元としてのリップル:Ripple Labs Inc.
本記事では分かりやすさを考慮した上で、以下の規則の元に執筆をしています。
- 仮想通貨としてのリップルと、ネットワークとしてのリップル両方を含む場合は「リップル(XRP)」、または単純に「リップル」と表記
- 厳密にネットワークのみを指す場合は「Ripple Net」
- 開発元としてのリップルは「リップル社」と表記
リップル(XRP)が持つ6つの特徴
まずは仮想通貨リップル(XRP)の特徴をざっくり理解しておきましょう。
- 送金時間が短い
- 取引手数料が低い
- ブリッジ通貨になる
- 中央集権的な構造
- 銀行・金融機関との連携
- ISO20022標準に対応
①:送金時間が短い
リップル(XRP)の最も際立つ特徴の一つは、驚異的な送金速度にあります。従来の銀行送金システムであるSWIFTでは、国際送金に数日かかることもあります。
私自身も中国留学で緊急で資金が必要になった際、日本の銀行から大手の中国招商銀行に国際送金をしてもらう機会がありましたが、到着に数日かかると知り呆然としたことがあります。
しかしリップルを使用すればわずか3〜5秒で国際送金を完了することができます。
ここでSWIFTや他の主要仮想通貨とリップルの送金時間を比較してみましょう。
送金方法 | 平均送金時間 |
---|---|
SWIFT | 1〜6営業日 |
ビットコイン(BTC) | 10分〜1時間 |
イーサリアム(ETH) | 5〜20秒 |
リップル(XRP) | 3〜5秒 |
この比較からリップル(XRP)が最も送金時間が短いことがわかります。
ビットコインの送金時間は約10分から1時間程度かかることがあり、ネットワークの混雑状況によって変動します。イーサリアムは数秒から数十秒程度で送金が完了しますが、リップルはさらに高速でわずか3〜5秒で送金が完了します。
②:取引手数料が低い
リップル(XRP)は取引速度が高速である以外に、極めて低い取引手数料も実現しています。
ここで100万円相当を日本からアメリカに送金する際に、SWIFTと主要仮想通貨、リップル間の取引手数料にどれだけ差異があるのかを見ていきます。SWIFTは三井住友銀行の国際送金の利用を想定しています。
送金方法 | 手数料総額(概算) |
---|---|
SWIFT(三井住友銀行) | 約1万円 |
ビットコイン(BTC) | 約6000円(1BTC1000万の場合) |
イーサリアム(ETH) | 約2000円(1ETH40万の場合) |
リップル(XRP) | 約1円(厳密には0.0004ドル = 約0.06円) |
仮想通貨の送金で必要なのは送金手数料のみですが、SWIFT(三井住友銀行)を利用した国際送金では様々な手数料が加算されます。
- 海外送金手数料:3500円(SMBCダイレクト利用時)
- 関係銀行手数料:2500円
- 円為替取扱手数料:2500円(送金金額の0.05%、最低2500円)
- リフティングチャージ:2500円(送金金額の0.05%、最低2500円)
取引手数料が低いことによるメリットは、特に大量の取引を行う金融機関や企業にとって顕著です。国際送金や頻繁な資金移動を行う場合、従来のシステムであるSWIFTでは高額な手数料が課されることがありましたが、リップルを利用することで大幅なコスト削減が可能になります。
また少額決済の際にも便利です。従来のシステムでは手数料が取引額を上回ってしまうような少額取引でも、リップルなら手軽に実行可能になります。これにより企業はもちろん、個人ユーザーが国際送金を行いやすくなるメリットがあります。
③:ブリッジ通貨になる
リップル(XRP)のブリッジ通貨としての役割も押さえておきたい特徴の一つです。
ブリッジ通貨とは、異なる通貨間の取引を仲介する役割を果たす通貨のことを指します。
従来の国際送金では直接取引できない通貨ペアの場合、米ドルなどの主要通貨を介して取引を行う必要がありました。これに対しリップルを利用することであらゆる通貨ペア間で直接的かつ迅速な取引が可能になります。
例えば日本円からメキシコペソへの送金を行う場合、リップルを介することで円をリップルに変換し、そのリップルをペソに変換するという流れで送金が完了します。
この仕組みによりリップルは通貨間の「橋渡し」の役割を果たし、複雑な為替取引を簡素化します。
また、リップルのブリッジ通貨としての役割は南アフリカランド/円(ZAR/JPY)のような、流動性の低い新興国通貨ペアの取引を円滑にする効果もあります。
④:中央集権的な構造
ビットコインやイーサリアムなどの多くの仮想通貨が完全な分散型システムを採用しているのに対し、リップル(XRP)はブロックチェーンを採用しておらず、中央集権的な構造になっています。
仮想通貨ってみんなで取引を監視するから安全なんじゃないの?
という疑問があるかと思いますが、中央集権的な構造にも下記のようなメリットが存在しています。
- 法人管理の信頼性:中央管理によりシステムの安定性が高く、金融機関にとって信頼できるプラットフォームとなっている
- 迅速な意思決定と開発:リップル社が中心となって運営しているため、企業提携や新機能の開発をスムーズに進められる
この後の仕組みのパートで詳しく解説しますが、安全性の面では「Unique Node List」と呼ばれる信頼できる少数の検証者により、取引の安全性が常に確保されている状態です。
また、リップル社が発行するXRPの総量は予め決められており、その大部分をリップル社自身が保有している状態です。これによりリップル社はXRPの流通量をコントロールし、価格の安定性を維持する能力を持っています。
一方でこの構造はリップルに対する批判の要因にもなっており、中央集権的な管理は仮想通貨の理念である「非中央集権性」に反すると指摘されています。
リップル社は適度に分散されていると述べていますが、管理者であるリップル社がいまだ多くのXRPを保有しているので、少し説得力に欠ける印象です。
⑤:銀行・金融機関との連携
リップル(XRP)は国際送金に特化していることから、他の仮想通貨と異なり銀行・金融機関との連携を積極的に進めている点も見逃せない特徴です。リップル社が提供する国際送金ネットワーク「RippleNet」には世界45カ国以上で300以上の金融機関が参加しており、既に高い信頼性を持っているのが分かります。
日本企業との提携においてもリップル社は積極的に動いています。最も有名なものがSBIホールディングスとリップル社の提携です。共同設立した合弁会社「SBI Ripple Asia」は日本の金融業界におけるRippleNetの普及に重要な役割を果たしています。
日本の大手銀行との連携も進んでおり、以下の表にリップル社と日本の主要金融機関の協業実績をまとめました。
金融機関 | 取り組み内容 |
---|---|
SBIホールディングス | ・SBI Ripple Asiaを設立し、RippleNetの普及を推進 ・SBI VCトレードでXRPの取引を提供 ・SBI代表取締役の北尾吉孝氏はリップル社の株式10%を保有し、役員に就任 |
三菱UFJ銀行 | ・RippleNetに参加 ・海外送金技術の共同開発を実施 |
みずほ銀行 | RippleNetに参加 |
三井住友銀行 | RippleNetに参加 リップルの技術を活用した国際送金サービスを導入 |
ゆうちょ銀行 | SBI Ripple Asiaのコンソーシアムに加盟 |
三井住友信託銀行 | RippleNetに参加 |
この表から日本の主要な金融機関がリップルの技術を積極的に採用し、国際送金サービスの効率化や新たな決済プラットフォームの構築に取り組んでいることがわかります。特にSBIホールディングスはリップル社との密接な関係を築いています。
例えば個人向け送金サービスであるSBIレミットは2021年に日本で初めてリップルを活用した国際送金サービスを開始しており、2023年9月からはフィリピン・ベトナム・インドネシアの銀行口座宛にもサービスを拡大しています。
今後サービスが広まることで企業だけでなく個人が手軽に国際送金を行える世界が近づくため、注目されている動きになります。
⑥:ISO20022標準に対応
ISO20022標準をとても簡単に言うと、世界中の銀行や企業が使う「お金のやりとりの共通言語」です。リップル(XRP)はこの規格に準拠した、数少ない分散型台帳技術(DLT)ネットワークの一つとして注目されています。
リップル社が2020年5月、ISO20022標準化団体に参加したことによりRippleNetはISO20022標準に対応しました。そのメリットは以下の通り。
- 金融システムとの統合強化:既存の金融機関とのシームレスな通信が可能になり、より幅広い受け入れと技術統合が促進される
- 国際送金の効率化と透明性向上:クロスボーダー決済の効率性が大幅に向上し、取引の追跡性が強化。コンプライアンス要件への対応も容易になっている
- 金融業界での信頼性と採用の拡大:リップルの金融業界での地位が強化。これにより機関投資家からの信頼が高まった
リップルを支える仕組み「XRP Ledger」と「XRP LCP」
ここからはリップル(XRP)の高速性や低い取引手数料、信頼性を支えており、リップルを理解する上で絶対に押さえておきたい仕組みであるXRP LedgerとXRP LCPを解説していきます。
ここでは以下の項目順に、多方面からできるだけ噛み砕いて両者を解説していきます。
- XRP Ledgerとは
- XRP LCPとは
- XRP LedgerとXRP LCPの違い
- 主要仮想通貨との比較
XRP Ledgerとは
XRP Ledgerは、リップル社が開発した分散型台帳システムです。これはリップルの取引や送金を記録し管理するための基盤となるプラットフォームです。
XRP Ledgerが行っていることは、以下の通り。
- 取引の記録と管理:リップルやその他の通貨の送金・取引を処理し、分散型台帳に記録
- マルチ通貨サポート:リップル以外の通貨やトークンの取引を可能にし、分散型取引所(DEX)機能を提供
- マルチシグ機能:取引承認の際に、単一ではなく複数の署名者の承認を求める仕組み
XRP LCPとは
XRP LCP(XRP Ledger Consensus Protocol)は、XRP Ledgerが使用する独自のコンセンサスアルゴリズムで、XRP Ledgerのコアとなる機能です。
XRP LCPが行っていることは、以下の通り。
- 合意形成:バリデーター(検証者)による取引の検証と承認プロセスを管理
- トランザクション順序決定:処理すべきトランザクションの順序を決定し、二重支払いを防ぐ
- ネットワーク同期:全てのノードが最新の台帳状態を維持できるよう同期を行う
合意形成というのは、取引が正当なものであったかどうかをバリデーターと呼ばれる取引検証者が確認する作業のことを言います。
合意形成の流れは以下のように進みます。
- 少数の信頼された「バリデーター」と呼ばれる承認者が取引を検証
- バリデーター同士が提案された取引を交換し、チェック
- バリデーターの80%以上が正当だと判断した取引のみが合意形成
- 合意された取引セットが適用され、新しいレジャー(台帳)が生成される
XRP LedgerとXRP LCPの違い
ここで一旦、XRP LedgerとXRP LCPの違いをまとめてみます。
XRP Ledgerが全体的なプラットフォームとして機能し、取引データを記録する分散型台帳であるのに対し、XRP LCPはその中で取引承認を効率的に行うためのメカニズムとして存在していると言えます。
もっと簡単に言えば、XRP Ledgerは送金を行う「場」であり、XRP LCPはその送金を安全かつ効率的に行うための「ルール」といえます。両者が協調することでリップル社の国際送金ソリューションが機能しています。
XRP LedgerとXRP LCPの関係は以下の図のようになります。XRP Ledgerの中でXRP LCPが動いているイメージです。
主要仮想通貨との比較
XRP Ledgerは分散型台帳システムですが、厳密にはブロックチェーンではありません。これはXRP Ledgerのコンセンサスアルゴリズム「XRP LCP」を他の仮想通貨のコンセンサスアルゴリズムと比較することで理解しやすくなります。
特徴 | リップル | ビットコイン | イーサリアム |
---|---|---|---|
コンセンサスアルゴリズム | XRP Ledger Consensus Protocol(XRP LCP) | プルーフ・オブ・ワーク(PoW) | プルーフ・オブ・ステーク(PoS) |
バリデーター選択 | Unique Node Listと呼ばれる信頼できる少数のバリデーターリストから割当 | マイニング競争で割当 | ステーキング量で割当 |
分散化レベル | 部分的 | 高度 | 高度 |
リップルのXRP LCPは、信頼できるバリデーターのリスト(Unique Node List)を使用し、高速な合意形成(3-5秒)を実現しています。これによりエネルギー消費を抑えつつ、高いスケーラビリティを達成しています。
しかしあらかじめ用意されたバリデーターのリストを用いて合意形成しているため、完全に分散化されているわけではありません。よってリップルのシステムはブロックチェーンとは厳密には別物と判断されることが多いわけです。
一方ビットコインはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を使用し、マイニング競争によって新しいブロックを生成します。これにより高いセキュリティを維持していますが、エネルギー消費が非常に高くスケーラビリティに課題があります。
イーサリアムはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行し、ステーキング量に基づいてバリデーターを選択します。これによりエネルギー効率が向上し、スケーラビリティも改善されていますが、取引量増加時の手数料(ガス代)の高騰が問題になっています。
うーん、中央集権型のほうがパフォーマンスが上がるのはなんだか複雑な感じ。。。
ただ管理主体があることで、金融機関は安心してリップル社と提携できるメリットもありますよ。
リップル(XRP)を支えるRipple Net
Ripple Netは、XRP Ledgerを基盤として構築された決済ネットワークです。実際にリップルが送金システムとして利活用される際には、このRipple Netが活躍しています。
Ripple Netは以下の3つのサービスによって構成されています。
- xCurrent:銀行間の国際送金を効率化するシステム。XRP Ledgerによりリアルタイムでの取引確認と決済を可能にする。従来のSWIFTより高速で、送金の透明性も向上している
- Ripple Payments(旧xRapid):XRPをブリッジ通貨にすることで、迅速な送金を可能にするサービス。特に新興国への送金で威力を発揮し、事前に現地通貨を準備する必要がなくなる
- xVia:企業や中小銀行が簡単に国際送金を行えるAPIベースのツール。専用ソフトのインストールが不要で、ウェブ経由で利用可能。送金状況のリアルタイム追跡や請求書の添付など、多機能な送金サービスを提供している
現在、世界45カ国以上の300を超える金融機関がRippleNetに参加しており、その利用は急速に拡大しています。
例えば日本銀行コンソーシアム(JBC)が開発したMoneyTapは、リップル社のxCurrentを利用したスマートフォンアプリです。
このアプリは、特に日本国内での即時送金を可能にするために設計されており、ユーザーは簡単にリアルタイムでの送金や受取ができるようになっています。
リップル(XRP)の歴史
ここからはリップル(XRP)の歴史を振り返ります。
2004年〜2012年:リップルの誕生と初期の構想
リップルの歴史は2004年、ソフトウェア開発者のライアン・フガーが「RipplePay」というシステムを考案したことから始まります。世界中が正体を追っているサトシナカモトのビットコインのホワイトペーパーが発表されたのは2008年であるため、とても先見性のあるアイデアだったと言えます。
RipplePayは中央集権的な金融機関を介さずに、個人間で直接価値を交換できる分散型ネットワークを目指していました。フガーは既存の金融システムの非効率性を解決し、グローバルな価値交換を容易にすることを提唱しましたが、当時の技術的制約からこの構想が本格的に検討されるまでには時間を要することになります。
2011年頃からマウントゴックス(Mt. Gox)創業者のジェド・マケーレブらがフガーのアイデアに着目し、ビットコインの課題を解決する新たな仮想通貨システムの開発を開始。これが後のリップル(XRP)の基盤となります。
ライアン・フガーのRipplePayに関する論文:Money as IOUs in a Social Trust Network
and A Proposal for a Secure, Private, Decentralized Digital Currency Protocol
2012年:リップル社の設立と開発の本格化
2012年、ジェド・マケーレブとクリス・ラーセンが中心となり、リップルの開発を目的としたOpenCoin社(後のリップル社)が設立されました。
この時期はビットコインの欠点である高いエネルギー消費や遅い取引速度を克服するため、より効率的な分散型台帳技術(DLT)の構築が進められました。
2013年〜2015年:XRPの発行とリップルネットの誕生
2013年1月、リップル社はXRPを発行し、Ripple Netの基盤が確立されました。同年9月にはOpenCoin社がRipple Labs Inc.に社名変更し、2015年には現在のRipple Inc.となりました。
この期間、Ripple Netのプロトコルが公開され、金融機関向けのソリューションとして注目を集めます。同時にリップル社は複数の銀行や決済プロバイダーとの提携を開始し、実用化に向けた取り組みを加速させました。
2016年〜2018年:金融機関との提携拡大と価格急騰
2016年から2018年にかけて、リップル社は世界中の金融機関との提携を急速に拡大しました。日本国内では2016年5月にSBIホールディングスと合弁会社「SBI Ripple Asia」を設立しており、アジア圏での仮想通貨やブロックチェーンを活用した決済サービスの提供が可能となっています。
この期間リップルの価格も大きく上昇し、2018年1月には史上最高値となる3.84ドルを記録。仮想通貨市場全体の盛り上がりも相まって、リップルは時価総額でビットコインに次ぐ2位に浮上し、大きな注目を集めました。
リップル社の企業価値も急上昇し、フィンテック業界の主要プレイヤーとしての地位を確立しました。
2019年〜2021年:規制環境の変化とSECとの法的闘争
2019年から2021年にかけて、リップル社は規制環境の変化と法的課題に直面します。最大の転機は2020年12月、米国証券取引委員会(SEC)がリップル社とその幹部を提訴したことです。
SECはリップル(XRP)を未登録証券として販売したと主張し、これによりリップルの価格は一時急落。多くの取引所がリップルの取引を停止する中、リップル社は法的防衛を強化。
同時に国際展開を加速させ米国外での事業拡大に注力しました。この期間リップル社の将来に不透明感が漂う一方で、技術開発と新規提携は継続されていました。
2022年〜2024年:訴訟解決とこれからの展開
2023年7月、リップル社はSECとの訴訟で重要な勝利を収めます。裁判所は「XRPトークン自体は有価証券ではない」と判断し、リップルの価格は一時70%以上上昇。
2024年8月には、リップル社に183億円の罰金が科されましたが、SECの要求額の94%減となりリップル側は勝利と捉えています。
2024年10月にSECが控訴し訴訟の長期化が懸念されていましたが、仮想通貨支持者のトランプ氏が2024年11月に大統領選で勝利したことから、リップルの価格は一ヶ月で400%上昇しました。
リップル(XRP)の将来性・今度の見通し
ここからはリップル(XRP)の将来性を考えるうえで重要な要素を解説していきます。
- SEC次期委員長、ポール・アトキンス氏の動向
- ETF承認への期待
- リップルのステーブルコイン「RLUSD」
SEC次期委員長、ポール・アトキンス氏の動向
トランプ次期アメリカ大統領は、SEC次期委員長にポール・アトキンス氏を指名しました。アトキンス氏は仮想通貨に対して前向きな姿勢を持つことで知られており、仮想通貨業界からは歓迎の声が上がっています。
アトキンス氏はデジタル資産やイノベーションが米国の発展に不可欠だと認識しており、SECの規制アプローチに大きな変化をもたらす可能性があります。
元CFTC(商品先物取引委員会)委員長のクリス・ジャンカルロ氏は、SECがリップル社への提訴を取り下げる可能性があると述べています。これが実現すればリップルの価格は大きく上昇することが予想されます。
ETF承認への期待
リップル社CEOであるブラッド・ガーリングハウス氏は、リップル(XRP)のETF承認は時間の問題で、登場は不可避と予測しています。
ビットコインとイーサリアムのETF承認時には、承認前から期待感で価格が上昇した経緯があるため、リップルのETFが承認されれば同様に価格が上昇する可能性が高いです。
リップルのステーブルコイン「RLUSD」
リップル社が開発中の「RLUSD」は、米ドルと連動し、XRP Ledgerとイーサリアムブロックチェーン上で展開される新しいステーブルコインです。
RLUSDは米ドル預金や米国債で裏付けられ、国際送金、決済、資産のトークン化、DeFiなど、幅広い金融分野での利用が期待されています。
ステーブルコインであるRLUSDの導入がリップルに与えるメリットは以下の通り。
- RLUSDがリップルと連携することで、エコシステム全体が強化される
- RLUSDの安定した価値がリップルの価格変動リスクを補完し、より多くの金融機関や企業がリップル社の技術を採用しやすくなる
これにより、リップル(XRP)の需要と価値が高まることが期待されています。
公開は2024年内を目指しており、リップル社CEOガーリングハウス氏は「RLUSDはまもなく公開されるだろう」とXで投稿しています。
仮想通貨リップル(XRP)のまとめ
本記事では仮想通貨リップル(XRP)の特徴や仕組みを掘り下げて解説してきました。
リップル(XRP)とはリップル社が開発した、国際送金を迅速かつ低コストで行うために設計されたシステム、及びそこで使われる仮想通貨です。従来の送金システムである「SWIFT」に代わる新しい決済手段として注目されています。
リップルについて押さえておきたい点は以下です。
- リップルは国際送金を便利にする仕組み、及びその仮想通貨
- コアシステムはXRP Ledger、高速性はXRP LCPが担保
- 仕組み上分散型ではなく、管理者がいる中央集権型である
- SECとの関係に要注目
トランプ氏が2025年1月に大統領に就任することで、社会実装が一気に進むことが期待されており、国を超えた企業、個人間送金が劇的に楽になる可能性が高いです。
リップルへの投資を考えている人は、今後のSECとの関係も引き続きウォッチしておきましょう。
リップル(XRP)に関するよくある質問
1リップルが100万円になる可能性はありますか?
リップル(XRP)が100万円になる可能性は極めて低いと言えます。執筆時点の2024年12月の価格である330円から約3000倍の上昇が必要であり、非現実的です。ただし将来的な価格上昇の余地はあり、数千円程度までの上昇は予測されています。
リップルは2025年にいくらになると予想されてますか?
2025年のリップル(XRP)価格予測は専門家や分析機関によって幅広いですが、多くの予測は2ドルから4ドルの間に集中しており、最も楽観的な見方では15ドル程度まで上昇する可能性が示唆されています。
参考資料
ご寄付を頂けると今後の更新の励みになります!