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WordPressのCMSとしての歴史と思い【世界トップシェアになった理由】

wordpressの歴史 なぜ世界top
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現在フリーランスのweb制作者としてWordPressをメインに扱っているしょーご(@samuraibrass)です。

これをご覧の方でWordPressを仕事で使っている方も多いかと思いますが、その歴史や文化は思ったより知られていません。

そしてWordPressの歴史を紐解く前に、他のCMSやそもそものWebの歴史についても理解しておく必要があります。

-本記事の目標-

WordPressやCMSの歴史や文化を知って仕事をより楽しくする

これを目標に今回解説していこうと思います。

ゆうすけくん
ゆうすけくん
なんとなくWordPress使ってたんで、この機にみてみるか
ようこちゃん
ようこちゃん
歴史や文化?オープンソースがなんちゃらとかは聞いたことありますけど
しょーご
しょーご
GPLについても歴史を紐解くと理念が見えてくるよ!

そもそもCMSってなんぞ?

content management system(CMS)

つまり、

サイトの更新など運用を楽にするシステム

と考えていただいて差し支えないかなと思います。

通常ページを増やすたびに毎回HTMLを書いていてはめんどくさいし、プログラマー以外にも使いやすいようにしようと、

ページを動的に生成できるようにして、誰でも簡単にサイトを運営できるようにしようという考えのもと考え出されました。

今でこそ我々はWordPressの管理画面からぽちぽち入力するだけでブログがかけてしまいますが、

あれはバックでPHPなどのプログラムが動いてページを生成してくれているのです。

1991年〜2003年のWordPress誕生まで

1991年に世界初のwebサイトが公開される

1991年8月6日、スイスのアルプスにある欧州原子核研究機構(CERN)の施設で、当時36歳(2020年現在55歳)の物理学者、ティム・バーナーズ=リーが、世界初のウェブサイトを発表します。

世界最初のwebサイトhttp://info.cern.ch/hypertext/WWW/TheProject.html

1998年ごろ CMSの原型たち

その後、2000年を待たずして、様々なCMSの原型と言われるようなコンテンツ管理システムが出てきます。

  • PHPNUKE
  • VIGNETTE
  • OPENTEXT

2001年 Movable Type登場

創業者のBenが失業期間中に、妻のMenaがウェブログを書きやすいようにと、後にMovable Typeとなるソフトを開発したことをきっかけに、2001年にアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ市にて創業されました。

今ではWordPressはオープンソースとして無料利用していますが、この頃はブログが市民権を得始めたばかりで、MTも無料版では商用利用できず、有料版でもブログの記事数が制限されるなど、厳格でした。

それに対する反発が強く、2004年以降には記事の制限数なども撤廃しますが、その頃対等しつつあったとあるCMSに、その玉座を受け渡すことになるのです

ありさちゃん
ありさちゃん
あれ?今でもたまにMT案件見かけますけど、そんなにマイナーなんです?
しょーご
しょーご
日本法人が今は開発を担当しているから、メジャーなのはもう日本ぐらいだよ。
まさひろくん
まさひろくん
アメリカ生まれの日本育ち…

WordPressの歴史

2001年 WordPress創始者マット・マレンウェッグとb2

当時19歳のマットはMovable Typeを使ってblogを作っていましたが、その扱いづらさに辟易していました。

当時のアメリカでは9割のユーザーがMTを使っていました。

そして、その後使いやすく気に入って使っていた「b2」というツールの開発もストップしてしまいます。

ちなみに、この「b2」がきっかけでオープンソースという概念に深く共感することになります。

2003年 共同創始者 マイク・リトルとの出会い

b2の開発がストップし、マットは「これまでのブログツールのいいところをまとめたツールはないかな?」とブログに投稿。

すると翌日、イギリスのマイクがその記事を見かけてコメントを送ります。

一緒にb2ベースのブログツールを作らないか

全てはここから始まりました。

ちなみに、ここからWordPressリリース前の開発中に、オリジナルb2の開発者であったMichael氏自身も開発に加わったそう。

元ネタの開発者が加わるとか、激アツすぎますね…

すぐに世界Topに

2004年にそれまで隆盛を誇っていたMTは、ライセンスと価格面、機能制限から陰りがさし、

オープンソースで世界中の人々の手によって急速に機能拡張され成長したWordPressが世界首位をとるに至ります。

その後のアップデート変遷

  • 2004年 プラグイン機能サポート開始
  • 2005年 固定ページ、テーマ機能追加、デフォルトテンプレートが同梱されるように
  • 2007年 ウィジェット、タグ機能追加
  • 2008年 管理画面から簡単にアップデートできるように
  • 2010年 マルチサイト機能追加
  • 2012年 テーマカスタマイザー導入
  • 2017年 REST API導入
  • 2018年 Gutenberg導入

トリビア:WordPressとジャズミュージシャンについて

WordPressの主要アップデートには毎回ジャズミュージシャンの名前がついています。

また、デフォルトインストール時に毎回、ジャズミュージシャンの名前を表示する謎プラグインが入っていることがないでしょうか?

これは、主要開発陣やマット自身がジャズ好きで、特にマットはアルトサックスを吹いていたことに起因するようです。

WordPress の主力開発者はみなジャズ音楽が好きで、1.0 以降の全てのメジャーリリースには、彼らの敬愛するジャズミュージシャンにちなんだ名前が付けられています。

WordPressバージョン一覧

ジャズが好きだから!(笑) 僕は昔、ジャズを習っていたことがあって、アルトサックスを吹いていたんです。ソフトウェア開発というと堅苦しいイメージがつきまといますが、みなさんにはそうした固定観念を振り払って、もっと自由なイメージを持ってほしかったんです。

WordPressの歴史

WordPressのGPLについて

WordPressを利用している人ならGPLを一度は聞いたことがあるでしょう。

そして、このGPLは知らないと仕事にも支障が出てきます。整理しておきましょう(読むのめんどい人は引用飛ばしてください)

ソフトウェア向けライセンスの大半は、あなたがそのソフトウェアを共有したり変更したりする自由を奪うように設計されています。対照的に、GNU 一般公衆利用許諾契約書は、あなたがフリーソフトウェアを共有したり変更したりする自由を保証する–すなわち、ソフトウェアがそのユーザすべてにとってフリーであることを保証することを目的としています。この一般公衆利用許諾契約書はフリーソフトウェア財団のソフトウェアのほとんどに適用されており、また GNU GPLを適用すると決めたフリーソフトウェア財団以外の作者によるプログラムにも適用されています(いくつかのフリーソフトウェア財団のソフトウェアには、GNU GPLではなくGNUライブラリ一般公衆利用許諾契約書が適用されています)。あなたもまた、ご自分のプログラムにGNU GPLを適用することが可能です。

GNU 一般公衆利用許諾契約書

・どんな目的に対しても、プログラムを望むままに実行する自由 (第零の自由)。
・プログラムがどのように動作しているか研究し、必要に応じて改造する自由 (第一の自由)。ソースコードへのアクセスは、この前提条件となります。
・ほかの人を助けられるよう、コピーを再配布する自由 (第二の自由)。
・改変した版を他に配布する自由 (第三の自由)。これにより、変更がコミュニティ全体にとって利益となる機会を提供できます。ソースコードへのアクセスは、この前提条件となります。

自由ソフトウェアの定義

GPLについて、マット自身が語っている動画があります。



WordPressは誕生した瞬間から、GPLライセンスを採用しています。

まさひろくん
まさひろくん
つまりどういうことだってばよ…
しょーご
しょーご
うーん、簡単にいうとコピーライトの逆かな。利用者全体が自由にそのソフトが使えることを保証している、そのためのライセンスがGPLなんだ
しょーご
しょーご
思い出して欲しいんだけど、マットが最初使っていた「b2」はオープンソースだった。実は使いづらさを覚えていたMTは企業が開発するタイプで開発が遅かったため、それを反面教師にオープンソースで自由に使ってもらうのが彼らの哲学なのかなと、僕は理解しているよ

元となった b2 というブログツールがこのライセンスを採用していたため、GPL 以外には選択肢がなかった、それだけの理由だそうです。

動画中でマットは

WordPress が GPL なのは、僕がそれをよく理解する前から決まっていたことだ

と述べています。

一部GPLとはなんなのか

ありさちゃん
ありさちゃん
でも有料テーマ買うと、大抵「1サイト一ライセンスです」って書かれてますよね。あれってなんなんでしょう?
しょーご
しょーご
今回の肝だね。まず「100%GPL」と「一部GPL(スプリットライセンス)」がキーワードだね

WordPressテーマを構成する要素

  • HTML
  • CSS
  • JavaScript
  • PHP
  • 画像ファイル

100%GPLは「PHP以外の部分も全てGPLライセンスすること

一部GPLは「PHPのみGPL、だから再配布はダメだよ(自分のライセンスでクライアントのサイト作ったり)」

そして重要なのは、「100%GPLは強制されるものではない」というところ。

販売者からすると、100%GPLだと売れにくいらしく(再配布できるので)意図して一部GPLとしていることが多いようです。

例えば、WordPressテーマ「jin」を例にとってみましょうか。

https://jin-theme.com/notice/

jinは一部GPL(PHPのみ)なのでクライアントサイトではまた購入しなければならないということです。

この辺りの理解を曖昧にすると、法的処置を受ける可能性がありますので、規約はよく読んだ上でサイトを構築しましょう。

反対に、最近話題のSNOW MONKEYに置いては「100%GPL」としています。

開発者のキタジマさんが、テーマを100%GPLで出すときは、結構チャレンジングだったと語っています。

自分が共感している 100%GPL にしたほうが良い、という考えで僕は 100%GPL にしています。

僕が WordPress 有料テーマ Snow Monkey を再販/再頒布されても良いし(多分やる人もいないし)、そこに大したリスクは無いと思っている理由

歴史から紐解くWordPressの思想

以上で、なんとなく歴史観とWordPressの根底の哲学がわかっていただけたのではないかなと思います。

ちなみに、現在WordPress.comを運営管理しているAutomattic社は社員規模1000人を超えますが、フルリモート企業として知られています(マット本人も世界中を移動しながら仕事をしているそうです)

世界60カ国以上の社員がリモートで働く米企業。なぜ日本の海辺でチーム合宿を?

また、マット・マレンウェッグは過去二回(2009,2015)日本に来訪しているそうです。

最後に

WordPressを普段仕事で使っている身として、今回記事を執筆する中で私自身も色々学ぶことができました。

ここまでお読みくださり、誠にありがとうございました。

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